制作方法を教えます!

こんな道具で作っています!

必見!造形進化論
 

粘土造形をはじめて作品が増えてくると、その制作過程で
小さな気づきがある。そしてその気づきを形にしていく事で上達する。
そのプロセスを「粘土造形進化論」としてご紹介します。

もったいぶらずに思うことは全て書いてます。
作る楽しさが伝わり、これからはじめようとする人に参考になればよかね。

プロポーションの進化
スカルピーの強度は実はそんなにも強くない。初期は壊れにくい造形にするため、腕や足は短くて太い形状にした。

その後、パーツにメリハリ(太or細)をつけることで、プロポーションの特長を表現するようになりました。

左の初期造形はパーツに起伏が少ない。右の最近の造形になると手首や足首が細く、太ももや上腕筋が異様に太いなど、身体的な特長も表現もするようになった。進化ですね!

表情の進化
モデルが存在する造形から制作をはじめた経緯から「似ている」が重要でした。

超リアルに似せるのではなく、ディフォルメ(誇張表現)をして似せる。 テレビのものまね芸は誇張することで笑いが起きる。そんなものを 造形にしたいと考えています。今もそのコンセプトは変わらないです。

似せる事から、やがて表情を意識するようになってからが面白い。 表情を作る筋肉を表現する発想は誰もが通る過程ではないかと考えます。 己の顔の表情を鏡で見て作り、表情豊かな造形を制作するようになりました。

ポーズの進化
表情が付くと、自然とポーズも変わってきました。 最初は2足で自立する造形のボディバランス(プロポーション)に神経を使って作っていたが、バランスを崩すことで動的になる事も表現の一つとして考えるようになりましたね。

パーツ形状の進化
人形の命「顔」は制作する時、神経を使いますが意外と手足は油断してしまう。

手は指が5本、足(靴)、左右対称の2つのパーツ。これは全身造形を作る際、必ず作らないと いけない。毎回違う顔(表情)を作るのと違い単純作業になりがちです。そのため作りが甘くなりがち。

しかし、指で表す手の表情もあり、いろいろ出来る事に気づいてからは手を抜かないよう心がけています。 写真を見ると手や足のパーツの形状が明らかに進化したのがわかると思います。

ディテールの進化
パッと見てあってもなくてもよいかも・・・。
そんなディテールもあります。

腕の血管の盛り上がり、手のシワ(手相)、
立ってれば見る事のない足の裏など。

ここまでちゃんと作るか!っていうのは
自己満足ですね。たぶん・・・。


塗装の進化
スカルピー粘土で人物を制作する場合は、スカルピーの地色を生かした塗装をしています。

造形の立体感を増す効果の塗装として陰影を出した塗装、頬を少し赤くして生きているよな塗装を心がけている。

ボブ・サップのように黒人の場合は全体をスプレー(エアブラシ)で塗装 する事もありましたね。黒人の手の平、足の裏は肌色なんですよね。その辺も再現してます。

ゾンビのように「生きた屍」では「死相」や体の「腐敗」、「破壊」も塗装で表現できるようになり、この進化は自信になった。作れないものは無い!って気分です(笑)

造形のバリエーションの進化
2本の足で立つ全身像ばかり制作していましたが、胸像タイプも作るようになりました。

無意識に作品の大きさの規格を決めていたんですね。規格を取っ払ってみると全身作らなくてもいい事に気づきました。

はじめは造形を作る楽しさ、プラモデルを組み立てるような感覚。 いくつか作品が増えてくるとHPで見て欲しくなりHPを立ち上げました。

このHPを始めた事で「造形の完成」の定義が変わってしまいました。 「立体物の完成」から「HPに掲載する事を考慮した形状での完成」 。

たとえばモンスターズインクJAPAN支店は造形制作ではバラバラのパーツを制作しました。
最終的に造形のデジカメ画像をデジタル加工することで完成!という作品もあります。

ソンビシリーズは実写背景との合成を前提に制作したので、全て胸像タイプです。
造形のスケールも大きなものから小さなものまで作るようになりました。

最後にメンタルの進化
作り続けるかぎり終わる事のない進化(進歩)はやってて楽しいもんです。

精神的な進化としては「破損」を恐れない事。初期は破損が気になりました。

完成してからも破損する事もあります。勿論むちゃくちゃ凹むけどあまり執着しないようになりましたね。
今では割れたヒビさえも、そのまま受け入れるようになってしまいました。

なぜか?それはもう次の作品に向かっているからです!粘土に触らない期間が長くあったとしても、次の構想を頭で考えている時点ですでに制作は始まっています。だから破損を悲しみ、神経質になる事も少なくなった。 (もちろん修復に時間は使います。大事な作品ですから・・・)

制作するたびに達成感を感じますが、完成にたどり着くまでに試行錯誤をします。新しい発見もあれば反省点も出てきます。あそこをこうすればよかった・・・とか。制作途中で気づけば直しますが、一度、火を通したモノの場合は後から直したりしません。

反省点を「形」に残し、次の制作で克服する事にしています。 その方が技術はアップします。
反省点が無いと思える作品もありますが、後から出てきます。

「冷静な目(客観視)」で見れた瞬間です。

その反省点を直すのではなく、次で繰り返さなければ確実に技術は向上します。

2006年11月に放送の「TVチャンピオン2-そっくり人形職人選手権-」に出場しましたが、
今までやってきた「そっくり人形」というジャンルの面白さを再認識しました。
毎年どんな人物が話題になるのかわかりません。
そんな「時代の顔」を切り取って形にするのが「そっくり人形」です。
これってネタが尽きる事はないし、いつも新鮮な心構えで造形を作れる。
なんか凄く面白いモノを見つけてしまったなーと考えます。

世界に1つしかないオリジナル造形ってのもいいですよね。
大切な人へ手作り人形をプレゼントするとか…。

市販品フィギュアを購入した喜びとは違う喜びをあなたも体験しませんか?
あなたにもかならず作れます。

「形あるものいつかは作れる」がいけもっこ・リーの造形進化論のまとめです。